コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、二十五杯目「魔法」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
二十五杯目「魔法」
今朝私は、泣きながらコーヒーを淹れた。
工程をこなすまでの間に、一体どれ位の涙を流したのだろう。
そんな私を見て、両親も一緒になって泣いた。
昨日、サム(♂)が息を引き取った。
14歳だった。
犬を飼いたかった私は、長期戦で両親に頼み続けた。
そして、数年越しの願いが叶い、保護犬の譲渡会に参加し運命的な出会いをした。
それ以降サムは、私の家族であり、親友だった。
普段は入れない砂糖を、多めに入れた温かなカフェ・オレを飲むと冷え切った心がほんわかと温まっていくのを感じた。
「サム、幸せだったかな…。」
私が呟くと、母が「…きっとね。あの子、いつもあなたにベッタリだったじゃない。その気持ちを、あなたはしっかり受け止めていたもの。」と、答えると、同じく普段飲まない甘いカフェオレを飲みながら「父さんなんか、何度嫉妬を覚えたか…。」と、父が笑った。
その夜、不思議な夢をみた。
サムと私。私はサムと同じ犬になっていた。
サムとじゃれ合い、寄り添い、毛繕いをし合う。まるで恋人のように。
優しく、温かな時間。少し冷たくなり始めた秋の空気が気持ちよく、幸せだった。
その夢のことを話すと、父が「おいおい…。サム以上にいい男なんて、なかなかいないぞ。母さん、どうすんだ。」と、本気で将来の心配をした。
私は、恋をしていた。
間違いなく、初恋だった。家族であり、親友であり、恋人。
初めて、深く深く愛することを教えてくれた。
私は泣くだろう。
この先、何度も、何度も、太陽の香りのする彼を思い出し、涙を流すだろう。
それでも、あなたに会えて良かった。
愛した分の痛みに何度涙を流したとしても、私は、あなたとの人生を選ぶだろう。
深い悲しみを受け入れながらも、私は、私たちは、
サムがくれた幸せにすっぽりと包まれていた。
愛する人達が暗闇に飲み込まれないようにと、サムが残してくれた魔法のように。
サムーーーー!!…なんて素敵な初恋でしょう。なんて優しいストーリー!
見返りを求めない愛情って、尊いですね…。
主人公がいつの日か素敵な恋に巡り逢えますようにと、思わず願ってしまいました。
皆様が涙の日も笑顔の日も、一緒に時を刻めますように✨
今後とも、「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから



WHITE COFFEE 定期便 2025年9月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!