コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、二十四杯目「絵本」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
二十四杯目「絵本」
我が家の本棚には、絵本が溢れていた。
何世代も読み継がれている名作、開くだけで心の踊る仕掛け絵本、字のない絵だけのもの、少しダークな大人向けの絵本。
国内外問わず、絵も驚くほど様々で、大人になった今でも、その本棚の前に立つと瞬時に子供の頃に戻ることができた。
その年の夏は酷暑と言われ、仕事に追われる毎日や、7年続いた腐れ縁の彼との静かな別れで疲れきった私は、ボロボロな羽根を引きづりながら実家で静かな夏休みを過ごすことにした。
「ただいまー。」と帰ると、
「おかえりー。外、暑かったでしょ。」と、前日に母が淹れ、冷蔵庫でキンキンに冷まされたアイスコーヒーが運ばれてきた。
一口含むと、心底、ホッとした。母に近況を一通り話し、「本棚のとこにいるねー。」と、コーヒーを追加し部屋を移動した。
「お…、また増えてる。」と、新しく加わった子達に手を伸ばす。
絵本に目を通しながらも、母の動く物音や、私の好物の肉じゃがの香りの強烈な〝安堵感〟に、クッションに寄りかかり目を閉じた。
しばらくして足元に気配を感じ薄らと目を開けると、父が私の足元のソファの端に座り、絵本を開いている。
それは私達が幼い頃に、父がプレゼントしてくれたものであった。
「…パパ?」と、声に出すと、「おかえり。」と、優しく微笑む父にさらに安堵し、久しぶりに深く眠りにつくことが出来た。
気持ちよくお昼寝から目覚めた私は、足元にある絵本に気が付き、泣いた。
「…パパ。」
沢山の思い出と共に、父の温もりがそこにまだ残っていないか、残っていて欲しいと、父が座っていた場所に手を重ねたが、そこにはいつもと変わらない日常が存在するだけであった。
少しぬるくなったコーヒーを飲みながら、『パパの幽霊なら大歓迎だよ…。』と、独り言をいい、また少し泣いた。
蝉の鳴き声が響く。
夕焼けがピンク色に部屋を染め、今日を終わらせようとしている。
私の物語は続く。
絵本のような美しい世界を描き、彩りをそえ、力強い鼓動を奏で。
父と描いた数えきれない程のページに、新しいページが加わることを思うと、嬉しくなった。
なんだか、グッときてしまいました。
大切な人との死別は、とてつもなく重く、心に影を残します。でも、間違いなく温かい部分もたくさん存在していて、その人との物語が続いていると思うと、少し違う視点で今を見れるというか…😢
うんうん。腐れ縁を終わらせれてよかった!と、前向きになれる素敵なストーリーでした✨
ではでは…今後とも、皆様と素敵なご縁を繋げていけますように✨
「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから



WHITE COFFEE 定期便 2025年8月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!