コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、二十三杯目「かき氷」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
二十三杯目「かき氷」
「ただいまー。」
汗だくで帰ってきた彼。紙袋の中身は、恋焦がれた〝かき氷機〟だろう。
食べることで意気投合し、付き合い始めた関係も5年が過ぎようとしていた。
ときめきや、恥じらいは薄れ、反比例するように二人の間に流れる心地よさは濃さを増し、食に関してはお互いの好みも熟知しきっていった。
暑いのが何よりも苦手な私。
そんな私と楽しめるようにと、毎年夏が近づくと、様々なキッチンアイテムが投入されていく。
今年はかき氷機が新たに加わることになり、濃厚なアイスクリームよりも、さっぱりとしたかき氷を欲する年齢になったんだねと笑い合った。
初めの頃は定番のシロップ。その後、様々な挑戦をするようになり、お互いのアイデアに時に驚き、感心し、ふざけ合い笑った。
そんなある日、彼が濃いめのアイスコーヒーを凍らせ、その氷でかき氷を作った。トッピングにはバニラアイスが添えられ、そのコーヒーかき氷は最高に美味しかった。
「りっちゃんのために、考案しました〜。」と、ニコニコの彼。
その笑顔を見ていたら、あまりの幸福感に、心の奥底に閉まっていた気持ちが思わず溢れ出し、「あ〜…、私、翔ちゃん似の子供が欲しいな。」と、心の声がダダ漏れになってしまった。
『しまった!』と、焦り、顔をあげると、そこには涙目の彼がいた。
「りっちゃんが、僕にプロポーズしてくれるなんて!…嬉しい!! ちょっと、待っててね。」
そう言って、冷蔵庫から私の苦手なクリームチーズの箱を持ってきた。
中身は、冷え冷えの婚約指輪だった。
「ずっと、言い出せなくって…。」
そこから私は笑いが止まらず、彼は涙が止まらず。
これから先のことは何もわからない。
子供は授からず、このまま二人で歳を重ねていくのかもしれない。
はたまた、とんでもない大喧嘩や予想もつかない事が起き、決別するかもしれない。
それでもいいと思った。
今、私たちは、この空間は、幸せで満たされている。
今、彼は精一杯私を大切にしてくれている。愛してくれている。
それだけで十分だと思った。
ギラギラと照りつける太陽が、大地を焦がす。
水遊びに花火、虫採りや夏祭り。そして、かき氷。
未来に焦がれ、灼熱の季節さえ愛おしく感じながら、
薬指を冷やす指輪にほほえんだ。
甘いプロポーズも凄いなって思うのですが、笑いのあるプロポーズも素敵ですよね💖
クリームチーズの箱に入れるなんて発想、なかなか思いつかないですよね〜笑
そして、コーヒーかき氷!自分も、挑戦してみたい!と、読んでてワクワクしました。
四季折々の楽しみ方を、皆様と発掘できたら幸いです✨
ではでは、今後とも「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから



WHITE COFFEE 定期便 2025年7月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!