
コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、十八杯目「バレンタインデー」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
十八杯目「バレンタインデー」
「ねえ、ゆいはさー、誰かにチョコあげんの?」
バレンタインが近づいたある日、後ろの席のヤスが声をかけてきた。
私はバレンタインデーが好きだ。
普段お目にかかれないチョコレートとの出会いは、たまらなく興奮する。
「えー。あげないよー。チョコレートは自分用なの。」
「そうなの?俺もチョコ食べたい!食べたい!食べたい!お願い、ゆい様〜。お返しあげるから!」
と、言われ、あまりのしつこさに渋々分けてあげることになった。
待ち合わせの公園で、ヤスと分けながらチョコレートを食べると意外にも楽しくって、律儀にもホワイトデーにお返しを貰えた時には、いつもよりもその日を〝特別〟に感じた。
それから私達は、バレンタインデーを一緒に過ごすようになった。
ヤスの背がグッと伸び、私がメイクを覚え始めた年のバレンタインデー。
ヤスが買ってきたコーヒーと、私のチョコレート。
ふいにヤスはチョコを持った私の手を、指ごと口に持って行った。
指が唇に触れ…私は、焦ってコーヒーをテーブルから落としそうになる。
「あぶな!」と、キャッチし「もう一個食べさせてよ。」と、イタズラっぽく笑い、私に言ってきたヤス。
その瞬間、私の奥深く、ずーとずっと奥深い、未開拓の身体の奥深い場所が、微かに動いた。
優しい風が吹き、光が届く。それは瑞々しい果実のような香りを漂わす。
ヤスの持ってるコーヒーを奪い取り、心に宿った甘ったるさを流し込んだ。
悔しいな…私、ヤスをドキってさせたい。好きだって、言わせたい。
ヤスの〝特別〟になりたい。
ホワイトデー。私が欲しいお返しは、もう決まっていた。
きゃーーー!欲しいお返しって、もしや〜😍と、乙女のようになってしまいました笑。
恋に落ちる瞬間って、なんかいいな…。
この、あま〜い雰囲気をコーヒーで流し込まずに、チョコレートのようにマリアージュを楽しんでいただけたらなと思います✨
ではでは…今後とも「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから


WHITE COFFEE 定期便 2025年2月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!