
コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、十四杯目「ムーンロード」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
十四杯目「ムーンロード」
ある夏の終わりに、親友であり、唯一の男友達に呼び出された。
中学校で同じクラス・部活だった私たちは、不思議と気が合い、進学や就職を経ても連絡を取り合い、お互いに彼氏彼女が出来てもその関係は変わらなかった。
呼び出されたその日も、いつもと同じようにコーヒーを水筒に淹れ、いつもと同じ海岸にむかい腰をかけ、暑さの和らいだ夕暮れを気持ちよく感じユウが来るのを待った。
「おつかれー。」と、ユウは隣に座った。私がコーヒーを渡し、「どうしたのー?」と聞くと、少しの間をあけ、「俺さー、結婚するわ。」と、言った。
「えっ??…彼女…いたっけ?」
「うん?まあね。」
…そっか…とうとう来たか…。
「じゃあ…もうあんまり会えなくなるね…」
「…う〜ん…そんな事ないんじゃない?」
「いやいや、あるでしょ!!」
今日が最後かな…
それからは2人の思い出話に夢中になり、気がつくと周りはすっかり夜を迎えた。
穏やかな海面には月が浮かび、道を作り始める。
ムーンロードかあ…こんな日のロマンチックな演出は最悪だな…と、手に持ったコーヒーを口にふくむ。
寂しさに囚われないように…いつも以上に明るくしていると、色々な場面での淡い気持ちが蘇る。
「あのさー、1回キスしていい?」
コーヒーを吹き出しそうになる。
「何言ってるの?結婚するんでしょ?」
「…うーん。だからこそ、
ずっとあるこのモヤモヤが何か確かめたいんだよ。」
私は止まった。そして、ユウは思った以上に長く唇を重ねてきた。
コーヒーの香りのするキスは、思った以上に心地がよく、涙が溢れた。
唇が離れると、ユウは涙目で言った。
「…離れれるわけないじゃん…。」そう言って、その時初めて手を繋いだ。
帰り道、結婚は作り話だと知った。
「気づけよ。」と、笑うユウ。
「こうなったら、するか!…結婚!!」と、言ったユウの手を、私は強く強く握り返した。
ロマンチックが止まりませんね〜🥰ムーンロード、数回見たことがあるのですが、あまりに綺麗で、ここの景色を脳裏に焼き付けたいなと感じたのを覚えています。こんな告白?ズルすぎる!!
そんな感じで、少しテンションがあがってしまったので、クールダウンにアイスコーヒーが飲みたくなってしまいました。笑
ではでは…今後とも「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから


WHITE COFFEE 定期便 2024年10月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!