【私とコーヒーの物語】 十一杯目「紫陽花」 | WHITE COFFEE(ホワイトコーヒー)

ホワイトコーヒー的なコーヒーの愛し方を語らせてください🥰
2025/04/18

【私とコーヒーの物語】 十一杯目「紫陽花」

WHITE COFFEE 定期便 2024年7月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!

コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。

今回は、十一杯目「紫陽花」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!

 

十一杯目「紫陽花」

 

 

梅雨が近づくと、祖父母を思い出す。

 

 

祖父の家に泊まりに行くと、きまって朝は近所の喫茶店にモーニングに行った。

コーヒーと銭湯をこよなく愛し、糖尿病を患いながらも、お酒とタバコを最期までやめず「悔いはなし!」と、この世を去っていった祖父。

遊びに行くと、向日葵のような笑顔で迎えてくれた祖母。

両親が不仲だった私に、愛を注ぎ、枯れそうな心を支えてくれたのは間違いなく2人だった。

 

 

喫茶店で、ゆで卵の剥き方を指南し、銭湯のマナーを徹底的に教え込んでくれたのも2人だった。

2人はよく、口喧嘩をしては冗談を言い合っていた。

 

 

2人が大好きだった。私の中の温かな記憶の大半をしめる思い出達。

紫陽花を愛した祖父母。

 

 

大人になり地元を離れた私は、恋をし、結婚をした。

次の帰省を心待ちにしている時に、母から、祖父が亡くなったと電話があった。

その瞬間から、私は、「じいちゃん、おいていかんでよ…。」と、何度も何度も泣いた。

まるで子供に戻ったかのように。

部屋に飾った紫陽花が目に入るたび、涙が溢れ、思い出から逃げ出せなくなった。

 

 

お通夜が終わり、お葬式を迎える頃には、自分が今立ってる場所がどこなのかわからない程、憔悴しきった。

 

 

お葬式。祖母が叔父に連れられて入ってきた。

痴呆が始まり、自分の子供達の事さえ思い出せなくなった祖母。

彼女は、ぼんやりと遺影をみつめ、庭に出て行った。

後を追いかけると、裸足で庭の紫陽花をつんでいた。

紫陽花をつみ、祖父の手元に置き、少女のように微笑んで言った。

「すすむさん、今年も紫陽花が咲いたわよ…」

優しく、恥ずかしそうに微笑む悲しい瞳。その瞳を見た瞬間、また涙が溢れた。

 

 

その数年後、祖母が他界したのは、同じように紫陽花の咲く季節だった。

 

 

幼い頃は大嫌いだったコーヒーを飲みながら、私は、温かい思い出たちに思いをはせる。

そして話しかける。

〝お元気ですか?じいちゃん、ばあちゃん、今日も仲良くケンカしてますか?〟…と。

 

 

 

…泣きました。涙でコーヒーが飲めないほどに😭
このショートストーリーは、最高のラブストーリーだな…と。
自分も幼い頃、大人がなんでとんでもなく苦く、どすくろい飲み物を飲むのか謎でした。大人になってその魅力の奥深さを知り、世界が広がり、多様な個性を持つコーヒー豆に出会うたびに嬉しくなってしまいます。
深く、心に響く今回のショートストーリーには、個人的には、ほろ苦さをベースにした甘く爽やかな酸味を余韻に残すコーヒーを合わせたいなと感じました。

皆様とご一緒に、様々なコーヒーと出会えることを楽しみにしています!

ではでは…今後とも「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️

 

前回のショートストーリーはこちらから

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまのコーヒーライフが、よりいっそう豊かになりますように。

「WHITE COFFEE 定期便」をぜひご検討ください!

心よりお待ちしております☺️

🕵️ 好み診断キット

コーヒー豆の好み診断キットは診断料/送料を含んで

いまなら期間限定!800円(税込)

コーヒー豆の好み診断キットを購入する
  • 余計な情報がない厳選されたコーヒー3種類
  • 簡単に淹れられるドリップパックでご提供
  • 住所を知らない相手にもホワイトコーヒーeギフトでお届け