【私とコーヒーの物語】 十杯目「翼」

コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか？

「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。

今回は、十杯目「翼」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです！

十杯目「翼」

 

 

ある日、物語が書けなくなった。

書けても、ありふれたものにしか思えず、焦りだけが積もっていく。

 

 

…困った時はケンちゃん。

 

 

ケンちゃんとは、両親の親友で、私達姉妹にとっては子供の頃からお兄ちゃん的存在である。

早速、ケンちゃんをランチに誘った。

 

 

私は、ケンちゃんの写真が大好きだ。どんな写真を撮っても、どこか温かく優しさを纏う。

 

 

ねえ、ケンちゃん。ケンちゃんは、写真を撮る事が嫌になったりしないの？

あー！もうやめる！！って、ならないん？と、聞いた。

ケンちゃんは大好きなコーヒーを飲みながら、

「うーん…なんだろ。

　自分の作品に自信がなくなる時はある。

　でも毎日、毎回、最高の瞬間あるんだよ。

　だから、もうやめたい！ってなんないの。

　それに、自信がなかったら、

　それは自分の経験とか知識がたりないからなんだよ。

　だから、クリアできるまで踏ん張る。

　そうするとまた出来ることが増える。それが快感…笑」

 

 

…ものすご〜く、ケンちゃんっぽい…

 

 

「なにー？書けないのお？悩んでる顔もいいねえ〜。

　ふふふ…。小さい時と同じ顔だ。

　ゴムを回して飛ばす飛行機を公園で買ってあげたら、

　どうやったらもっと飛ぶんだって、

　試行錯誤してるあの時とおんなじ顔！」

 

 

…そうだ。ケンちゃんは昔っからそうだった。もっと悩め〜って、決して答えを言ってくれない…

でもね、そこが子供の頃から大好きだった。

〝ほら、できるって。待ってるから、考えてごらん！〟って。

ケンちゃんの写真と同じ。優しさと温かさ。

その、コーヒー色の瞳を見ると、絶対できるって、自分を信じる事ができる。

もっと遠くに、もっと高くとばせるって。

小さな翼が、背中でウズウズしてるのを感じながら窓の外に目を移す。

 

 

雨が落ちる。

 

 

私の中の可能性。小さな翼。

怖がる必要はない。

今なら大雨でも嵐でも、光る星を見出せるだろう。

新しい冒険にウキウキしているあの頃の私が、いつだって笑いかけてくれてるのだから。

 

 

ケンちゃん！！…僕の背中にもまだ小さな翼は残っているのかなあ…。
そうなんですよね。子供の悩む顔ってたまらなくいい！可能性は未知数で、とんでもない答えを導き出すことの出来る、フレッシュな脳が羨ましい😅

でも、大人だって、僕だって、まだまだ可能性は未知数だと信じたい！

皆さんの日々の活力剤としてもお役に立てますように✨

引き続き、「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️

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