コーヒーを愛する皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
「WHITE COFFEE 定期便」と一緒にお届けしている、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】のご紹介です。
今回は、五杯目「願い」です。
ちょっとだけ他のことを忘れて、ほんのりくつろぎながら読んでいただけたら嬉しいです!
五杯目「願い」
父の実家は餅屋だった。
餅屋の年末は忙しい。お供え餅・のし餅を新年に向けて準備し配達をする。
その為に親類が集まり、手伝う。幼い頃はいとこ達と遊んで過ごしたが、10歳ごろに配達の手伝いに参加できるようになると、自分の成長を誇らしく感じたものだ。
僕に初めて〝責任〟というものを教えてくれた大切な場所も、大学を卒業する頃には店はたたまれ、今では親類に配る分だけを叔父がつく。
配達が終わると叔母がコーヒーを淹れてくれた。
冷えた身体に沁み渡り、心まで温めてくれる。
大晦日は宴会があり、元旦の朝は筋肉痛と二日酔いに苦しむ。
そんな朝を救ってくれたのも叔母のコーヒーだった。
時々フラッと遊びに行った時にも、結婚の報告に婚約者を連れて訪れた時にも、そこには叔母のコーヒーがあった。
新年を迎え、
叔母の淹れるコーヒーの薫りが漂う時が好きだった。あー…今年も頑張ろうと。
その思い出はどこまでも優しく、温かく、
心が冷え切った日に、孤独を楽しめない日に、僕をそっと支えてくれた。
希望と優しさに満ちた朝。
もう戻ることは出来ない朝。
どんなに望んでも決して届かない日々。
新年を迎える。
そして願う。今年もあの時と同じ願い。
どうか、今この瞬間を精一杯生きられますように。
過ぎた日々を糧に、今をめいいっぱい生きられますように…
強く、のびやかに。
2024年が始まり、早いもので5月を迎えました。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
新年を迎えた際に食べたお雑煮が、故郷が、恋しい今日この頃です😢
初詣や新年に願った皆様の願いが、叶いますよに…今という一時を少しでも楽しんでいただけますように…
引き続き「WHITE COFFEE 定期便」をよろしくお願いいたします☕️
前回のショートストーリーはこちらから
WHITE COFFEE 定期便 2024年1月号でお届けした、ショートストーリー【私とコーヒーの物語】 をぜひお楽しみください!